APA 心理学大辞典
https://gyazo.com/229a6ed6e629b433eed36b8ef9ce98b7
(著)
読了日:
/icons2/hr3.icon
本の内容
アメリカ心理学会 (American Psychological Association: APA) は、1982年に設立され、11万人以上の会員を誇る、アメリカの心理学会を代表する学会であり、心理学に関する世界最大の団体である。本書は、アメリカ心理学会が、100名以上の研究者や医師らからなる編集委員の指導のもと作成した心理学辞典 (APA Dictionary of Psychology) の日本語翻訳版である。心理学は言うまでもなく心についてその理を明らかにすることを志す学問であるが、解明しようとする対象の範囲は極めて広く、多様な分野や方法論の用語を正しく理解することが求められる。本書では、知覚、認知、記憶、動機、実験、学習、統計、脳科学、言語、発達、コミュニケーション、生理、教育、パーソナリティ、対人関係、精神医学、精神分析、心理臨床、カウンセリング、心理テスト、文化人類学、産業・組織、法心理など、心理学とその周辺領域の様々な分野から約20,000の項目を選びだし、用語の定義とその基本概念、さらには応用までを簡潔に解説している。本書の特徴として、収録されている用語が多いということ、曖昧さの少ないコンパクトな記述であるということが挙げられ、心理学の書物や論文を読む際に座右においておくと役立つと考える。同時に、若干の項目については「百科事典」的に、そのテーマについて深く掘り下げられた、比較的長い説明となっており、重要概念については深く理解することができる。また、各項目間の関連を重視しており、同義語や反意語、および関連する用語を相互に参照できる。この相互参照によって、読者は同義語や反意語を知り、もともとの用語のもつ意味を広げることができる。多くの見出し項目が同義語やそこから変化した語を伴っており、それをたどることで、その用語の中心的で最もよく使われる意味に到達できる。さらに、本書は英語で書かれた辞典の日本語翻訳であり、巻末には項目すべての欧文索引を用意しているため、心理学に関する英語を和訳する場合や、逆に日本語の専門語に対応する英語を探す場合にも役立つ。心理学の基礎的な事項はもちろんのこと、臨床関係の項目も充実しており、心理学を学ぶ大学生・大学院生から心理学者、臨床の現場で働く専門家および各種カウンセラーまで、幅広い読者を対象にした包括的な辞典であり、心理学に関心のある全ての人々にとって最適のリファレンスとして用いられることを想定している。 (紹介文執筆者: 総合文化研究科・教養学部 准教授 四本裕子 / 2017)